企業の文化活動

日本美術を支えてきた越前和紙 「季刊ブンカ」Vol.93 2024

ゆったりとした広さのある東山魁夷の部屋。彼の木版画は人間国宝・九代目岩野市兵衛氏が漉いた「越前生漉き(きずき)奉書紙」に摺られている。魁夷と親交の深かった小説家・川端康成も自身の作品装丁に採用していて、その現物が展示されている。

 2024年3月、福井県庁前に越前和紙を用いた著名作家の作品を展示する「越前ふくい美術館」が開館しました。北陸新幹線敦賀延伸開業に合わせて、「国内外から福井を訪れていただいた方々に、越前和紙のすばらしさをもっと知ってもらう拠点に」と越前和紙の里美術館の姉妹館として設けた美術館です。

 建物は2階建てで、1回はミニコンサートも開ける展示空間とカフェ、2階が展示室になっています。展示室には、日本美術と越前和紙の関わりの歴史や、和紙を採用した画家の一覧、人間国宝・九代目岩野市兵衛氏の功績などをパネルで展示しています。

 展示は3部構成。第1展示室は葛飾北斎ら浮世絵師の版画、第2展示室は藤田嗣治の作品が並び、独特の乳白色の絵が深紅の壁紙に映え見応え十分です。第3展示室は東山魁夷の部屋で、森や山、白馬などをモチーフとする作品を展示。青や緑の多色づかいが清涼感と神秘的な雰囲気を醸します。

 「和紙職人、摺師(すりし)、彫師、版画工房などが揃ってはじめて、芸術家は表現を具体化できます。普段は表に登場しない彼らの名を記した説明文にも注目してください」と話す同館の諏訪学芸員。数々の作家や職人たちの仕事を支えてきた福井の伝統工芸・越前和紙の奥深さを堪能できる、新しいミュージアムの誕生です。

越前ふくい美術館

TEL:0776-21-7311
開館時間/10:00~18:00(入館は17:30まで)
休館日/月曜定休(祝日の場合は翌日)
入館料金/大人600円 2館共通券1,000円(越前和紙の里美術館との共通券)高校生以下無料
アクセス/福井駅西口より徒歩3分

日野メカニカル株式会社
自動車産業用機械設備製造
福井市花堂中1-2-12

公式サイト https://echizenfuikui-artmuseum.notion.site/749d8375716541749f6576990fc659b4
場所 福井市大手2-8-8