ギャラリー「和紙屋」 「季刊ブンカ」Vol.95 2024
杉原商店が扱う和紙商品やサンプルを陳列。蔵内にあった長持(収納箱)をリメイクし展示台にするなど凝った演出も楽しめる。杉原商店の蔵および敷地内にある建物6棟は2022年に国の登録有形文化財に指定されている。
越前和紙の問屋。杉原商店は、和紙販売以外にも職人と連携して新たな商品を開発。十代目当主の杉原吉直さんは、”和紙ソムリエ”として国内外に越前和紙を発信し、2018年には自宅の蔵を和紙製品の展示ギャラリー「和紙屋」に改修しました。「100年以上前の建物で床の修繕が必要になったので、いっそ和紙に触れてもらえる場所に変えてみよう」と考えた杉原さん。改修を担当した福井県出身のデザイナー水谷壮市さんは、簡素な中にも揺るぎない主張を持った建物を目の当たりにし、「手をかけすぎず、やりすぎず、暮らすような雰囲気にしたい」と提案しました。完成したギャラリーは、高い天井と温かな照明が心地よい落ち着きを醸しています。
ギャラリーには新しい和紙製品を求めて国内外から人が訪れ、壁紙サイズの大判和紙も広げられるため、室内装飾用にと建築関係の問い合わせも増えたそうです。20年に完成した国立競技場の内装には、杉原商店が納入した和紙が使われています。
これまで新聞や雑誌など数々のメディアで和紙の奥深さを語ってきた杉原さん。「和紙の素晴らしさを世界に広めたい。そして和紙の仕事が面白い、継ぎたいという人を応援したい。1500年の歴史を持つ越前和紙を後世に伝えていくためにも、職人の生活が成り立ち、楽しく活気のある産地へと盛り上げたい」。ギャラリーが和紙への関心を深めるきっかけとなり、伝統技術を受け継ぐことの重みを感じてもらえればと静かに語ります。
株式会社杉原商店
1871(明治4)年創業の和紙問屋。早くから和紙のインテリア活用を見いだし、欧米での展示会にも挑戦してきた。
■ギャラリー(要予約)
火曜~金曜/9:00~13:00
第4土曜日/9:00~17:00
Instagram:@sugiharawashi
公式サイト | https://www.washiya.com/ |
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場所 | 越前市不老町17-2 |